バクマン。

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 モテキの……というのも今やアレだが、大根仁監督によるジャンプ漫画の実写化。ジャンプ漫画の実写化としてはたぶん今までの映画作品でもっとも良く出来ている、と思うが他がひどいだけという説もある。たぶん次点はるろ剣で、どちらも佐藤健だ。ジャンプ顔なのだろうか。

 

 バクマンは結構好きで連載時、特に初期は結構読んでいて、結構良かったと思うんだけど(結構の多い文章)途中から、ほんとうに漫画みたいになっちゃって、なんだよこれ漫画みたいじゃん!ってなってしまった。漫画なのに。実写であっても染谷将太演じる新妻エイジの漫画っぷりは漫画だ。ガモウはこういうキャラが好きなのだろうか。

 

 よく出来ていないアクション映画の特徴に「物語の進行と関係ないアクションシーン」というものがあるが、バクマンにも、物語の進行と実質関係ないグラフィカルなシーンが1つ2つ見受けられ、途中退屈しないこともなかった。っていうか劇伴がショボいなんちゃってテクノだったり、「なんちゃってピンポン」という感じで、今更それなのかよ、という印象はあります(なんちゃってスーパーカーことサカナクションが作っているらしい)。が、でもまあ他の部分がよく出来ているので概ね気にならずに見れた。恋愛要素をほぼ完全にアレンジしたのもクレバーな選択だと思う。

 

 今回見て気づいたのだが、このバクマン映画は原作よりももっと「G戦場ヘヴンズドア」に近いテーマになっているような気がする(原作のときからその感じはモチロンあるのだが、より濃くなっている)し、よく考えるとこれは「セッション」とも似た話だ。映画後半で行われる“選択”は「G戦場」や「セッション」ではほぼ闇堕ちとして描かれるのに対して、バクマンではどこまでもポジティブなものとして描かれる。選びとっているものは三作品とも実質同じなのにね。「命を賭けてやる」=「悪魔に魂を売る」という選択がどういう結果を招くのか、特に「G戦場」と対比して観ると面白いだろう。「G戦場」は大好きな部分と大嫌いな部分がないまぜになったマンガで、バクマンは大嫌いな部分がないかわりに大好きな部分もない。やっぱ芯食ってるほうが強烈に嫌いになれたりするんだろうな。

 

 ちなみにバクマンにもセッションにもG戦場にも、すべて「大量に出血するシーン」が含まれている。音楽や漫画がテーマなのにね。創るというのは、血を流すことなのだ。